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【自作語り】絹江は美木杉の婚約者【うぜぇ】

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【自作語り】絹江は美木杉の婚約者【うぜぇ】


◇没設定と裏設定
 『キルラキル脚本全集』と『神衣万象』のなかには、本編になかった設定がいくつか登場します。
 そのなかには、「ここに書いてあるけど、結局、採用にはなってないよね?」と思う「没設定」と、「本編で明言されてないけど、これは話の前提としてあったんじゃないかな」と思う「裏設定」がある気がしています。

「没設定」の例としては、大文化体育祭時点、「生命戦維のすべてが絆糸になっている」という設定(脚本全集p249、18話) CDドラマ第4弾を聞くと、こういう感じは全然ない。つまり、この設定は捨てちゃったんだろう、と感じます。

◇「絹江は美木杉の婚約者」は、「裏設定」ではないか
 その一方。美木杉が絹江の婚約者だったという設定は、話の前提=「裏設定」ではないしょうか?

 美木杉は、振れ幅の大きなキャラクターなので。「ああ、こういう人物か」という判断が、どの台詞だったかは、人によって異なると思います。私にとっては、それが、
「当然だろう。ああなるともう人間を超えた怪物だ」(12話)
 だったんですね。
 それまで、「纏流子は、僕が育てた」的な類型的なメンター・キャラ、もしかすると後で恋愛寄りになっていくかも、くらいに思っていたのが。この台詞で、
「あ、これは予想と違う。もっとバックグラウンドの深い、面白いキャラかもしれん」
と、興味をもった。……結局、作中では「バックグラウンド」は明かされなかったんですけども^^

◇美木杉の軸足
12話。
「ごめんな、流子くん」と言いながら撃てない。精神的に、苦しげなシーン(左)と。
「ああなるともう人間を超えた怪物だ」黄長瀬の前での、冷静な笑み(右)。
20話。
鮮血とマコさえ捨て置いて去ろうとする流子を、美木杉は一瞬追おうとするが、黄長瀬の制止に従う(左)。
「流子くんがあてにできない以上、人類の勝利は鬼龍院皐月なくしてはありえない」迷いを見せない声。ここにも黄長瀬は同席している(右)。

 ここで、順序は重要です。突き放す→ほだされる、の順序であれば、主人公が次第に周囲の理解と共感を得ていく、という、物語の王道ですが。美木杉の場合、ほだされる→突き放す、の順。しかも、「ほだされる→突き放す」パターンが12話と20話、合計2回繰り返されます。まるで、「この人はこういう人です」と強調するかのように。

 話の流れのなかで、"流子の味方であること"が美木杉の軸足だと思っちゃっていると、軸足の定まらない、ふらついた人に見えるのですが。

 美木杉が、絹江の婚約者だったという前提になると。
 美木杉が軸足を「生命戦維から人類を救え」のほうに置く、強い感情的な動機付けになります。流子が揺らぐなら、撃ってでも、おっぽりだしてでも、目的に向かって進む。それが美木杉の本道であって、「目の前の少女に心動かされる」ほうが「揺らぎ」。
 「情を断って本道へ戻る」シーンに、紬が絡むのも、意味ないことではないのでしょう。「紬の姉の死で決意したことを、忘れてはいない」それを紬に見せつけるように、ことさら、美木杉が流子を突き放すのだとすると、筋が通って見えてくるなぁと。
 これが私の、美木杉というキャラの解釈です。


 「私のキャラ解釈だと」という限定つきで。
 上で「順序は重要」、と書きました。
 2話で、美木杉は、自分が神衣を与えて戦いに巻き込んだ少女が、臣子という小物に負け気を失ったのを助けてソファに寝かせ、窓枠に座って目覚めを待っています。
 3話、臣子を倒した流子と、美木杉の距離は、肩を抱くまで近づきます、口説きます。拒否られて冗談で誤魔化しますが、私には「あわよくば」的に口説いているように見えました。
 14話。神衣暴走の後。絹江は生命戦維暴走で死んだが、流子は生き残り、鮮血を失います。美木杉は、意識のない流子をソファに寝かせて、自分は窓枠。2話の距離感まで、戻ったように感じますが。美木杉は、半裸で倒れていた流子を、抱き上げて、アジトに戻ったはずです。もしかすると、
「これで君は戦いから解放されるね、僕らは大変になるけど」
なぁんて思っていたかもしれない、と思います。
 19話。流子が体内に生命戦維を持つと知ったあと。美木杉は、DTRに乗った状態で、意識のない流子を見つけます。ロボットを捨てて、手で抱き上げることもできたはずですが、そうはしません。どう運んだかは、CDドラマ第4弾で描かれます。
 本編見舞いのシーンも、ベッドの傍らに膝まづく、眠る流子に触れるなどの「近い」描写はなく、距離を感じる立ち位置です。
 私には、美木杉は、流子の暴走でまず距離をとり、体内の生命戦維を知ってさらに距離をとったように、「見えます」。

(それでも、纏流子という少女は、美木杉を許すだろう、という気持ちをこめて書いたのが「伝言ゲームの終着点」です)

 なぜ、美木杉は、そこまで生命戦維に対して、ナイーブか。その原因は、やはり絹江ではないのか。

 たしかに、美木杉は、絹江を失った悲しみを口にしません。忘れているから口にしない、悲しみが深いからこそ口にできない、どっちの解釈も成り立ちそうです。

 うちでは、(はっきりは出しませんでしたが)後者「悲しみはまだ深い(からこそ口にできない)」を採ります。20代研究者が、5~60代研究者の助手をしていたら、呼称は普通「纏先生」です。「纏博士」というのは、距離を感じます。絹江の死の原因が纏一身だと思っているからの、距離感、という設定です。

 纏一身は、原作本編中でも、いろーんなことを、美木杉に話していません。自分が羅暁の夫だったこと、流子のなかの生命戦維。絹江の死の詳細も、拙作では、話していないことになっています。
 ただ、ついでにここで書いてしまうと。
 3話で、美木杉は、羅暁の野望の終着点を「世界支配」だと説明します。最終実態は「世界滅亡」です。ここまで一身が美木杉に嘘をつく理由が見つからなかったので、拙作中では、一身も知らなかった、ということにしてあります。

◇『おきぃさん』の発想の元
 美木杉が20代終わりだというなら、大学を卒業したのはせいぜい7年前。
 大学も卒業しないで研究職というのは、ほぼ、ありえないので。
 絹江を失ったのはそれよりも後、つまり、纏一身が生命戦維制御技術を確立したのもその後ということになります。

 一方、鬼龍院皐月が、本能字学園建立を心に決めて、己の中学進学先を、輪廻堂中学に決めたのは6年前。それまでに、最低限、極制服が作成可能であることは、確定していたはず。伊織糸郎は、まだ小学生の時期です。

 なぜ、小学生が、極制服を作り得たか、という話は、『Conscious』に書きました。
 ほぼ同じ時期に、なぜ、大人の科学者が3人がかりで生命戦維服の実用化に漕ぎつけず、なぜ、そのあとで神衣・鮮血を作り出せたのか?
 極制服は一ツ星は10%、三ツ星は30%など、生命戦維の混紡に、絆糸という技術を併用したものです。
 神衣・鮮血は、グランクチュリエ針目縫が、絆糸と見まごうものを持っているわけですが、それを切っても飛散しないことから見ても、絆糸とまったく同一の技術かどうかは判りません。
 塔主頂上決戦の戦いの流れで、剣の装・改が針目に絆糸を切られて敗北し、鮮血が生き残ったことから、鮮血は絆糸を1本切られても敗北せぬように意図された改良型という印象を受けますけど。纏一身が、絆糸という概念を持っていた保証は、ないと思っています。
 絹江が死んだときには、纏一身は、まだ、生命戦維服の開発に成功してません。そうでなければ、絹江が死ぬ理由がありません。
 一身自身の死のときには、生命戦維を体内に持たない一身が、生命戦維を仕込んだ白衣を着ていています。
 つまり、絹江の死と、一身の死の間に、何か、ブレークスルーとなる知識を得たのではないか。

 纏一身は、明らかに、生命戦維を敵視しているのに、助手である絹江が「服は人の敵ではない」という考えを持ったのは、なぜなのか。その絹江の「考えの根拠」と、一身の成功要因が、重なるんじゃないか?

 ……というのが、今回の話のネタ元です。


 なんかもう、「これもありかな」ネタを積み重ねすぎて、「原作のここから思いつきました」って書き添えないと、繋がらなくなってますね^^;

 あ、似たようなことを何度も書いてるんで、しつこいですけど。
 「『おきぃさん』を書くにあたってベースになった私の解釈はこう」「こういう解釈もありだと思う」っつう話ですからね。他の方がどう解釈なさろうがご自由ですし、できれば他の方の解釈も知りたいです。他の方の解釈が知りたいからこそ、自分の解釈を出して晒しておく、くらいの気分で、この記事を書いています。

※画像は、「引用」の範囲で使用しています。

2015/3/25画像を1枚プラス。文章も少し足しました。

2015/8/30 おまけ

 これ、どなただったかが指摘していらした場面(すみません、うろおぼえです)で。8/28-29の一挙放送で「ここか!」と思ったので、追加しておきます。
 左の美木杉の呆れ顔は、純潔流子にヘリを吹っ飛ばされた場面。右は、出撃する黄長瀬を気遣う場面のシリアス顔。
 美木杉というキャラの芯が、「流子の味方」であれば、左の表情はなんかピンとこない……、もうちょっと「(裏切りが)切ない」とか「(取り戻せるのか)心配そう」な顔にならないかな?と思うのですが。上に書いたとおり、美木杉の軸足が「生命戦維から人類を救え」であれば、キャラの整合性は取れているんですよね。美木杉・黄長瀬は、「純潔流子から船を守りたい」という立場。皐月+四天王+マコ+鮮血は、「流子を純潔から取り戻す」ために行動する。
 この関係性の相似形は、24話ラスト、落下シーンでも繰り返されます。流子を受け止めに走る高校生組(揃さんとか満艦飾家とか混じってますがw)と、それを見守る美木杉・黄長瀬。あの距離感こそが、美木杉と流子の距離感の象徴なんじゃないかな、と、思っています。
 ……ブレてなんて、ない、と思うんですよ^^。
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